siLife’s blog

へいげんの頭の中

ヒーローとヴィラン#1章 特殊能力


特殊能力ってなんなんだろう。

こんなことを考えているうちに夜になっていた。

今日は案の定全ての仕事に
失敗し傷だらけになって
馬小屋に帰ってきた俺だった。


隣を見るとやはり俺と同じで傷だらけになっている男がいる。
そう。
あの生意気な男だ。

俺はもう一度特殊能力について聞こうと思って傷だらけの体を起き上がらせようとした。

その時。

「カツカツ」

大きな足音がこちらに近づいてくる。


扉を見ると昨日の大男が馬小屋の扉(檻の頑丈な扉)
の前に立っていた。

「氷道 霜夜 (ひょうどう そうや)でろっ
仕事だ。」


あいつの名前は氷道って言うのか。
僕がこんなことを思っている間に
氷道は連れていかれた。


こんな時間になんの仕事だ?

夜できる仕事なんてなにもないだろ?

なんてことを考えている間に
僕は疲れもあり
そのまま眠ってしまった。




ーーまだ真夜中ーー

「ガシャんっ」
扉の開く音で僕は目を覚ました。

そのまま伏せて音を聞いていると、、

「カツカツカツ」
大男が帰って行く音が聞こえた。

氷道が帰ってきたみたいだ。


僕が起き上がると、
「バタン」

氷道が突然倒れ込んだ。


「おいどうしたんだ!大丈夫か!おい!聞こえるか!」

息はしてるみたいだけど全然声に反応しない。

よく見てみるとこいつの体なんでこんなに冷え切ってるんだ?

とりあえず僕は自分の布団と氷道の布団を二重にしてかけ温めることにした。


「頼むぞ。こんなところで死ぬなんてやめてくれよ。」

その日僕はあんなに嫌なことをされたはずの氷道の容体を見るために一晩寝ずに朝を迎えた。


太陽の光が眩しく光っている


「ウゥ..」

「ここは..」

意識が曖昧ながらも氷道が目を覚ました。

「おい!大丈夫か!痛いとこ無いか!?
ここはいつもの馬小屋だ!」

僕は目を覚ましたことに喜び大きな声を上げてしまった。


「うるせぇよ。痛いとこばっかだっつうの。」

氷道はこんな怪我をしてまで生意気なことを言っている。
元気みたいだな。

僕はホッと胸をなでおろした。

氷道は、自分が看病されているのに気づいたようで信じられないことを口にした。


「ありがとな。(ボソッ)」

僕は耳を疑った。


あの!あの!生意気な氷道がありがとう!?

「なんだ?なんて言ったんだ?」

僕はニヤニヤしながらもう一度言わせようとする。


「うるせぇ!なんでもねえよ!」

氷道は少し照れたようにそっぽを向いてしまった。

「お前名前なんて言ったけ..」

氷道が聞いてきた。

「ん?黒白 迅だよ。(あやめじん」だよ。」

僕がそう言うと

「黒白か。」

「...」

「お前、特殊能力についてどこまで知ってる?」

氷道が急に特殊能力の話を始めてきた。
僕は急にこいつどうした?と思いつつ
昨日ずっと気になっていたことなので食い気味に答えた。

「いや、なにも知らないよ。」
「俺自体が特殊能力発症してないからな。」


僕がそう答えると氷道はこう答えた。


「お前ここから脱走したく無いか?」

「脱走したいならお前が知りたいこと全て教えてやるよ。
この島のこともな。」


僕は思いもよらない氷道の言葉に
驚きつつ大きな声で答えた。

「教えてくれ。全て!ここから俺は脱走したい!」


ここから俺と氷道の脱走劇がスタートする。



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